基本、ラジオが好きだ。
 唐突では有るが、ラジオが好きです。俺がガキの頃、子供部屋ってのがまだ珍しいぐらいの感じだったし、当然ガキの部屋にテレビなんて無かったんです。だから当たり前にテレビよりもラジオのほうに馴染みが有るんだけどさ。
 大体テレビってのは居間にデデーンって置いてあって、チャンネルを決めるのは常に親なんだよね。今じゃどうだか知らんけどさ、チャンネルは親の意志しか反映せずって感じでした。俺んちは。だから例え親父がいびきかいてガーガー言ってて、テレビ画面じゃ砂嵐がザーザー言っててもスイッチを切ると怒鳴りつけられたもんだ。「親がテレビを見ているのに切るとは何事だ!」つって。もう、理不尽此の上ないんだけど、それが俺の家だったんだから仕方が無い。もちろん俺も大人になったから、そういう親父の理不尽は理解出来る。出来ない事も無い。出来るかもしれん。無理かもしれない。だが、理解出来る事と許すことは別腹だな。
 俺はこういう恨みを一生忘れない。
 それはさておき、ガキの俺が自分の自由になる「電気ものの娯楽」を手に入れたのは小学校の高学年になってからで、それがゲームヲッチだったから今のゲヲタとしての俺が有るわけだ。なんつうか、俺は進化してないねえ。そんな「ひたすら馬鹿」な生き物である俺が最初の俺のラジオを手に入れたのが、確か同年だったとおもう。
 単三電池一本で動く、イヤホンだけの出力。そんなトランジスタラジオを親戚に貰った。
 大喜びで色々触りまくったのを今も覚えている。んでもって、一日中いじりまわして、夜、布団に入ってラジオを聞いて居たら親父が部屋に入って来て、俺はボッコボコにぶん殴られてラジオを取り上げられた。これが初号機の顛末。殴られた理由が「ガキが夜中にラジオを聞くなんて生意気」だそうです。
 はいは〜い!注目! 寝てる時に不意にぶん殴られると人間て対応出来ないんだよ〜。ヘタすると死んじゃうからね〜!みんな〜、覚えておこうね! だから、例え家でも何処でも、自分が寝ている空間は確実に鍵をかけよう。俺はもう習慣になってるよ! これで死なずに済むから一安心さ!
 それはさておき。
 二号機は中学校に入ってから。
 今でこそ、というかハワイアンネイティブの子に本気で惚れ込んでテンパりながら口説いた結果というか、とりあえず普通の会話程度なら不自由しないぐらいに英語が話せるんだけど中学時代の俺は全く英語がワカランかったんですよ。理由は非常に簡単で、教師が駄目だったから。俺の頃は英語は中一で初めて習い始めるものだった(今どうなのかは知らん)んだけど、その中一の英語の先生ってのが正直言って脳軟化なんじゃねえか?と噂されるような人だった。つうか、日本語からして何を話してるのかワカラン人だった。ので、完全に舐められていて、授業は完全崩壊状態。結局何も進まず一年が経過という地獄展開だったのが原因。すげえ迷惑。
 そんな有様だったので「これは高校に行けんぞ」という事になり、中一の二学期頃に「もう授業は駄目だ。代わりにラジオの英会話を聴こう」となり、ラジカセが家にやってくる事になったのですよ。当時の量販店にて最安値のラジカセが購入され、俺の部屋へ。
 もう既に一度ラジオ関係でボコボコにぶん殴られている身としては、何度も同じような轍を踏む訳にも行かない訳で、自分からラジオのスイッチを入れるような馬鹿な真似は一切しないという自衛策を展開。そんな訳でラジオ英会話は二回ぐらいしか聞く事無く、俺自身もラジカセに近寄る事も無く二号機はホコリを被るという状況へ。
 この後、俺は「目覚まし時計をかう」という大嘘をついてかって来たポケコンにはまってしまったので暫くはラジオは放置してました。
 改めて、このラジカセを使い始めたのは中学三年の頃になってから。
 理由その壱:親父がぶっ倒れて動けなくなってやんのザマア。
 理由その二:俺がマセて音楽を聴き始めたから。
 親父はその後(一年ぐらいしてから)復活しましたが、その頃は俺の方が強くなってて反撃して半殺しに仕返したので(高校の頃)その話は終了。もう一つの俺がマセて音楽を聴き始めた顛末は以下。
 俺の中学は何故か音楽室に大量のフォークギターが常備されていて、中三の音楽の授業がギター演奏という面白授業だったのです。だから全自動でフォークを聞き始め、一気にロックへ走り、何か知らんけど学年単位で音楽三昧な状態になったんですよ。俺も例に漏れず、音楽室のギターをかき鳴らしてました。勝手にアレンジしたRockなごり雪とかを好き勝手に歌ってただけなんだけどな。
 ところで俺としてはギターってのは学校で習う事であって、弾ける事が当たり前だったんだけど、これって珍しいらしいね? この前某所で聞いたんだが。いや、ほれ、あのバンドアニメ有ったやんけ。キャラ萌えしないと面白い物が何も無いというアレです。辛辣ですか?知ったこっちゃ無いね。あれで「影響受けてギターを買ったんだが弾けない」って書き込みが有って、俺としては「え?中学でやらされるじゃん」としか。一月ぐらいチンタラとF押さえたり、何となく同級生の兄から貰ったBeatlesのタブ読んでデイトリッパー弾いたりしねえの? 俺んとこは何故かビーチボーイズが流行ったよ? んで、なぜかベサメムーチョのタブが出回って、先生も何となく公認で皆でベサメ~ベサメム~~~チョ~~~って歌ってたんだけどなあ。俺はそんな勢いのまま小さい宝島とか小さいフールズメイトとか買い始めて、高校じゃTheSmithsを買い集める展開だったんだけど。あのバンドは異様な変則チューニングと難しいコードばっかで、コピーするのに四苦八苦だったなあ。
 的な会話は高校生ぐらいじゃデフォじゃあねえの? 
 違うなら違うで別に俺の知ったこっちゃ無いですけどね。
 とにかく、そんなこんなで洋楽のカセットを(当時貧乏人はカセットだったんだよレコードは中流以上の持ち物だっつうの)買うようになって件のラジカセが復活しました。たしかねえ、最初に買ったカセットはね、ビートルズのSgtペパーズだったね。んで、次に買ったのがツェッペリンのフィジカルグラフティとストーンズのベスト。邦楽は戸川純様の玉姫様が最初。カセットは本当に優秀な、当時の友達作りツールでしたねえ。俺も友達に凄いYMO好きがいて、そいつからレコードをカセットに落としてもらったりしてさ。今でも聞くもんなYMOは。普通に。後にMSXを手に入れたんだけど、その記憶媒体もカセットだったしなあ。優秀だったなあカセット。
 そんなわけで音楽が身近になってラジオにも意識が行った訳です。
 んでね、ラジオですよ。ラジオはね、やはり学生的には深夜ラジオでしょお。俺は大橋照美さんのラジアメが好きでさあ。すぐに斉藤洋美さんに変わっちゃったけど。あれの面白カセットのコーナーは今で言う所のYoutube的。どんな物かというと、各自勝手に台本書いて珍妙過ぎるラジオドラマをカセットに撮ったのを番組に送りつけたり、兄弟喧嘩の一部始終を録音して送りつけたり、勝手にエロ小説をかいて思いっきり演技しながら録音して送りつけたり、それを容赦なく放送するという。あれは、なあ、今は出来そうも無いよなあ。
 あとオールナイトニッポンね。実はそれほど思い入れが無いけど、とんねるずのは聞いてました。ノリダーとか始まる前の、ギラギラしすぎる彼らは放送も毎回ほとんど事故のような内容でした。実は当時のラジオを録音した物が実家に有ったりします。この前久しぶりに聞いてみたんだけど今でも充分面白いです。
 時代は下って。
 FMだとNack5の黎明期の深夜にやっていたルーク篁のMidnightSpecialね。ど真夜中のFMラジオなのに爆笑につぐ爆笑展開のため翌日の木曜日は朝からグッタリしていました。あの頃は俺はまだ不眠なんて持ってなかったからなあ。ほぼ徹夜だと死ぬんだよな。あと同時期に何か知らんけどやっていたスネークマンショー的な物も聞いてた。今でも良くわからない番組だけど、あれは何だったんだろう。
 以上、「俺とラジオ」簡易版でした。
 語り始めると俺の年齢が年齢だけに書く事が絶える事が無い訳なので、この辺で過去の話は終了とするつもり。
 本題:
 要するに何が言いたいのかというと、夏休みに入ってNHKラジオ第一の午前8:33からやってる子供科学相談が面白いという話。何でこんな物を聞いているのっつう部分の回答として前記の「俺とラジオ」の歴史から俺のラジオ好きな感じを察しろという事です。はい。それはそれとして。とにかく異様な緊張感があって面白いんだよ、この番組がっ。
http://www.nhk.or.jp/r1/kodomoq/index.html
 先ず何が面白いのかというと、質問の内容が意外と面白い。子供ならではの「番組的にどうなろうが知ったこっちゃネエよ」という容赦ない質問が面白い。今日もスレスレな質問が飛び交っていました。今日スレスレだったのは「雀の子供が巣から落ちて来てお父さんが拾ったら死にました。何故ですか?」というもの。いやあ、大人なら自分で色々言い訳して終了させる疑問を、率直に叩き付けて来る感性が凄いね。猛烈に答え難いっつうの。寿命とも言えないし、そういう物だ!とも言い切れないしな。お父さんが悪いなんて事も無いし、じゃあ何で死んだんだ?っていうのを、だ。公共の電波にのせて日本中に公表しなきゃらなん回答者の心中をお察しします。俺なら心が折れます。
 まあ、普通に豆知識としても面白い質問が沢山有るので楽しいですよ。
 次に凄いのが「おそらくは背後に居るであろう親」の息吹です。電話でラジオに質問してるって言う時点で、おそらく親がやらせてる訳ですよ。大体ね、今時のガキが自分でNHKラジオなんて聞かないっつうの。親が聞いてるか、聞かせているかの二択でしょ。そんなガキンチョがテンパりながら質問をする訳です。それは多分、ガキ本人の意志ってのが殆ど含有されてないシチュエーションなんだろうね。だから「質問をする」って部分でガキとしては「お仕事終了」感が漂い始める訳です。なんたって答えが聞きたくて電話してるというより親に「電話して聞け」っつわれて電話してるわけだから、聞いたら終了的な意識なわけですよ。だから、回答者が懇切丁寧にスレスレな部分を綱渡りしながら答えるんだけど、それをガキがほぼ聞いてないっていう。相槌が超適当になってくのが見え見えで、聞いてるコッチが吹き出しそうになるんだよね。
 で、それを背後で聞いてる親も感じるんだろうね、あからさまに途中でガキが親に何か指示されたのか文句を言われたかのかしてテンションが「泣き」に変わるんです。質問自体が「どうして昼に星が見えないのですか」的な牧歌的な内容で、回答もゆっくり丁寧なのに、その答えの途中からガキがベソるという異次元展開。回答終了後に、アナウンサーのおねいさんがフォローするんだけど、目の前に鬼の形相した親がスタンバってるガキとしては一切フォローになるわけもなくガキはベソり続けて電話終了という。
 時に背後でボソって親のつぶやきが入ったりするしな。
 なんかね、そんなのを見ていると、例の謝罪会見を思い出しますよ。吉兆的な。
 
 ク*のような大人の事はさておき。話を子供科学相談に戻して。
 他に面白いのが超絶コシャマっくれたガキね。コレも面白い。
 なんつうか「僕って優等生ですが何か」的なガキも電話してくるんですよ。最初聞いてると超絶「イラッ」と来るんだけどさ、これもねえ、改めて聞いてみると面白い。このガキは学校とかじゃ通知表とかスゲエ良くって、先生の覚えも良くて親も溺愛してんだろうなあという幸せがにじみ出ているんだけどさ。基本的に社会における経験値が無いので、質問時は「こんな凄い事を聞く俺って凄いでしょ?」という得意絶頂感が出てるのですが、相手は大学教授さんとかですからなあ、難なく答えが返って来る。それを聞いているうちに気がつくんだろうねえ、<結局、自分を褒めてくれてるのは狭い世界の人だけであって、世間様ってのは恐ろしいぐらいに広くて、そこには遥かに博識で、親切で、優しいぐらいに厳しい人が居る>ってのに。そうするとね、このコシャマっくれたガキが秒単位でヘコんでいくんですよ。何故か最後は敗北宣言的な「僕、もっと勉強します」発言が出て来たり。
 ある意味、リアリティ番組ですよ。
 そんなわけで。
 まあ、とりあえず今日出て来た質問を転載してみますよ。答えて見やがれ!
?動物はどうやって大人になったことを感じるの?
?春にうぐいすが鳴きますが冬は鳴きません。冬は何をしているのですか?
 な?スゲエでしょ?
 これを子供にも解るように、懇切丁寧に答えるんですよ? 聞いてる方は半分ベソってたりすんのに。
 そんな超絶面白放送が午前中一杯続きます。
 やっぱラジオは良いね、うん。共感は要らない。