なんというか久しぶりに猛烈な憂鬱状態で大変です。
 初めては高校二年の秋に、すんごいのが来て、殆ど喋れないし脳は死にっぱなしだし、動くのも億劫というか、そもそも起き上がりたくない!という状態になりました。もっとも高校時代の俺は、殆ど壊れていたので特に誰かに心配されたりとかは無かったのですが、非常に辛かった。
 以後、周期的に猛烈に憂鬱な状態がやってきては、俺を嬲り倒して行きます。勘弁して下さい。
 まあ、ほっとけば三ヶ月ぐらいで戻るのでいいんですけど。
 というか、こういう無駄話を不特定多数というか何と言うか、そういう形で吐き出していれば、もうすこし短い期間で戻るので、ハッキリ言って、この文章は俺のリハビリです。
 まあ、こういう一連に関しては俺の性格も大きな要因となっているんだろうなあとは思っていますけど、性格の部分に関しては修正は効かない年齢だからなあ。今更どうにもならんし。
 
 そういえば、ちょっと前に「医療関係者って、どうしてあんなに淡々としているのだろう」というのを見かけました。一応、そんな業界の隅っこに居る俺も、淡々としている部類に入るのでしょうか?ようわからんけど。ただ、同業者を見る限り、そんな淡々としている印象は無いなあ。変に暑苦しい人も多いし。ただ、業務という範疇では、相当淡々としているイメージを持たれても致し方ないのかもしれんね。その辺りは、心当たりが有るし。
 如何にせん、嘘と死が身近すぎるんですよ。
 人と向き合う商売なのに、向き合っている相手は嘘で武装してる事が多くて、一体、自分は誰を相手に会話をしているんだ?というようなジレンマは常に有ります。逆に、この辺りの感覚がないと商売になりません。以前も書いたけど、「疑問を持たない医師は死刑執行人と等しい」ですし。
 でも、この嘘ってのが、俺を騙そうとしての嘘じゃなくてですね、もう少し違ったベクトルの嘘なんですよ。一つは見栄であったり、一つは羞恥心であったり、そういった意味合いが強い嘘だったりするんですよな。だから、聞いている立場としては、相手を責めるという感情は希薄になって行く。そんなやりとりが日常になって行くんだよね。検査の結果と矛盾する事を言われる日々を過ごすとさ、人の言葉に対しての信頼性が消えて行くんだよね。
 さらに最近多いのはさ、ためしてガッツリだか何だかのテレビ情報が先に脳に有ってさ、その情報を根拠として自分の症状をでっち上げて行くというパターン。症状だけ言えば良いのに、ネットとかテレビで仕入れた病名を自分の状態だって決めて来ちゃって、その病名に合わせて「実際はそうでもない」症状を、それこそ深刻だと言ったりするのね。まあ、大抵は検査すりゃ本当の状態は丸出しになるんだけどさ。
 これも多分、悪気は無いんだよね。むしろ、メディアに恐喝されちゃってるような心理になってしまって「だったらもう、自分はこの病気ってことにしてもらって治療してもらった方が気持ちが楽!」という着地点を目指しているんだろうけど、コレも本人には自覚が無い嘘の一つだとおもうんだ。
 で、そういう人間関係を職業だからっつって続けていると、その感覚はまるっと日常にシフトしてきちゃって「ま、大体この話も嘘と誇張だな」とか思うようになる。そんな感覚が根底に出来ちゃう。
 ついでに言うと、科学ってのを根拠にしている商売なので、判断基準が「統計と推測」になっていくし、そもそも統計ってのが嘘をつくのが楽な物だったりするから、n数とか、そんなもんばっかり気になるようになるし、ソレ以前に客観に対して価値を見いだせなくなる事も多いんだよね。だから、それが普通の日常の話題でも「その根拠って何だろうなあ。どうやって数字出したんだろう。母体になってるn数ってどのくらいになるのかな?」とか考えるようになって、その制度がコッチの判断基準になっていく傾向はあるね。
 どっちゃにせよ、如何に情報を引っ張りだすか?それを、どう分析するか?という部分ばかりが特化してくので、日常会話が妙にウザったくなったりするんです。とくに学生の頃には。
 で、大抵の人が「アイツは理屈臭くて」とか陰口を叩かれるんですよ、俺の同業者は。
 で、言われた方としては、気を使って話すようになるんだけど、それでも思考の方はきっちりと仕上げられてたりする訳で、今更変更も利かない状態だったりするので、後は淡々と会話する事に終始する方向が残ってる事が多いような気がします。もちろん、同業者相手の会話は凄いヒートアップした会話が展開したりするんだけどね。相手の思考回路は想像つくし、会話のベクトルも解ってるから、気にする事も無いからねえ。
 
 というような俺なりの答えってのがね、有るんだけどね。
 俺もさ、その思考回路が脳に有ったりするので、返答は「そうかも知れないね」という淡々としたものになります。「一体どのくらいの医療関係者をn数にしたんだろうな」とか「その傾向を引っ張りだして来た根拠部分は何だろう」とか、そういう理屈臭い話は同業者相手「だけ」とします。
 
 あと死に関しては書かない。
 書いちゃいけない立場だし。