眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎

眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎

 なにやら空恐ろしげなサブタイトルですが、内容は至って真剣なプリオンと遺伝の関連についての記録です。眠れなくなってから、眠るという事に執着するようになり、その為に色々と試行錯誤している俺なんだけど、西洋医学の方から切り込んで睡眠を考えて行くと不眠の極端な例としてプリオンによって脳が変質するという病気が上げられます。
 もともと老化に寄る脳の変質が睡眠の障害の一翼を担っているという考え方も有るように、睡眠の最大の鍵になる場所が脳というブラックボックスであるため、睡眠を調べると脳の話は避けて通れないようです。とはいえ、要するに似非科学における必殺技としても脳のシステムというものは都合良く流用される事も多い為、本当に信頼の於けるデータというものを探すのは一苦労では有ります。
 どうにも、この適当な科学知識ってやつは普通に深く根を下ろしているようで、テレビ程度の話では全く信用出来ないのが実情です。むしろ、以前の某あるある大辞典的な何かを思い出してもらうまでもなく、最初から疑っておいた方がマシな結末を向かえられるなんていう皮肉な状態になっているわけですが、それでも実際の所、一向に似非科学が減る傾向は有りませんね。
 これ以上書くと愚痴になるので似非科学に関してはここまで。
 プリオンというと狂牛病を連想しますし、それは間違えではありませんが、牛のプリオンが人に何か影響を及ぼすか?という部分においては、未だ幾つもの疑問が残っているのは確かです。それにしても日本っていう国は実際はヤコブ病の多発地帯という一面を持っていて、イギリスに次いで多い発症数であると。
http://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/vcjd/index.html
 厚労省のデータですが、参考までに。
http://www.med.or.jp/kansen/jakob.html
 日本医師会の方だと、また見解が異なるようですが、この辺りはデータの読み取り方の誤差に入るのではないか?と個人的には思います。とはいえ、パレスチナでの有病率が際立って高いというのは興味深いですね。コノ病気の症状が鬱や不安から始まるという側面を鑑みると、政治的、社会的に不安要素を多く抱える、ようするに行き詰まってしまった社会に多く発症するのでしょうか?なんていう勘ぐりも産まれて来ます。疫学的に全くエビデンスのない発想なので意味を持ちませんけど。
 
 という、面倒な話はさておき。
 知的好奇心を満たすという部分ではとても楽しい本なので、今日はコレを読みながら寝ようかと思うのです。